カワサキの売上はモーターサイクルの不振が足を引っ張る形に

2020年の連結決算についてカワサキは、営業利益の微減が生じたとの発表をした。
全体の営業利益は3.0パーセントの減少となる620億円を計上していて、微減と言える。
しかし全体での売上高は1兆6,413億円で2.9パーセントの増加が見られているため、増収となっている部分い比べて減収部分もしくは営業効率が悪い部分が出ていることが分かる。

特にモーターサイクル事業、精密機械やロボット事業についての減益が足を引っ張る形となってしまったのが印象的だ。
もちろん、新型コロナウイルス感染症による問題で様々な施策を取る必要があり、これが利益に影響をもたらしたことも事実である。
しかし事業部門ごとに見ると、プラスとマイナスが出ている部門の差がはっきりしたとも言えるだろう。

カワサキのバイク事業について

川崎重工全体で見ると、航空宇宙関連事業などは比較的好調で売上高、利益共にプラスを示している。
その反対にいるのがバイク事業となっている。
売上高自体も3,377億円と、前年に比べて5.6パーセントもの減少となってしまったのだ。
これはまず新型コロナウイルス感染症のダメージが大きく、全体に消費が冷え込んでしまったというのが大きな理由となるだろう。
半導体供給を始めとして、様々なパーツの供給や工場稼働率が落ちてしまったということで、販売自体に問題が生じたのはどこのメーカーでも共通する点となっている。

それに加えて為替リスクもカワサキのモーターサイクル事業に悪影響を与えている。
ドルやユーロに対する円高が生じていて、海外における販売が振るわなかったというのは海外戦略の中で厳しい評価を付ける結果となった。

さらに、カワサキの工場がある東南アジアにおける為替の影響も無視できない。
タイバーツの上昇に伴い、製造コストが大きく上がってしまったことで利益率が下がるという悪影響をもたらしたのだ。
バイク事業ではないものの、自動車事業においてリコールが生じてその対応のために支出がかさんだというのも結果的に部門全体の利益を下げることになってしまった。

カワサキの今後の展望

新型コロナウイルス感染の影響は予測が難しいことから、明確な数字を上げての売上予想などはメーカーとしては出していない。
ただし2020年度のようなコロナ渦の大きな影響はなく、今度下火になり世界的に経済活動が上向いていくというのは、カワサキのみならず産業界全体に言えることだ。

また、円高傾向が収まり円安に転じる動きも、海外戦略を進める上では追い風となるはずだ。
こうしたことから、コロナ渦の影響を完全に脱するのには時間がかかるとはいえ、着実に改善傾向に向かうと予想される。