ヤマハは10パーセント超の売上減少が見られた
ヤマハは連結決算における売上高が前期比で11.6パーセント減となる1兆4,713億円と発表した。
さらに営業利益に関しては817億円とし、実に29.2パーセントものマイナスになってしまった。
ただし、全体で見ると非常に苦しい経営を強いられた新型コロナウイルス感染症拡大の影響をある程度乗り越えることができ、一部では取り返しているとの見方がなされている。
特にロボット事業や金融サービス事業における好調が見られ、その他の事業の減収を支える結果となっている。
決算上期から比較すると、マイナス部分が減少していることから、ある程度回復傾向が見られているとの分析もできる。
こうした売り上げ減少の原因としては、一つに円高傾向が続いていたことが挙げられる。
為替リスクによって輸出が厳しくなったことや、海外工場における人件費やパーツ供給などのコスト高が利益を押し下げるものとなったわけだ。
また上期においては新型コロナウイルス感染症拡大のために、工場の稼働率が落ちてしまい製造が思うようにできなかったということが、その後の売り上げ減少につながっている。
ヤマハのバイク事業について
ヤマハはバイク事業を「ランドモビリティ」という名称で区別しているが、この事業に関して売上高、営業利益両方で減少が見られたことを発表している。
売上高については9,465億円となり前期比で1.5パーセントもの減少、営業利益に至ったは185億円で55.7パーセントという大きなマイナスを示している。
とはいえ、バイクメーカーの中には赤字決算となってしまったところもあることを考えれば、大きな減少であっても一定の利益を出せたのは幸いというところだろう。
ヤマハは世界戦略の軸の一つに東南アジアにおける販売があるが、この地域では感染症の影響が強く出てしまった。
いくつかの国では、販売に伴う金融サービス、つまりローンの規制強化が起こり、それが購買に制限を与えてしまったという事情も関係している。
感染症拡大による直接的な消費者心理の落ち込みと共に、販売台数マイナスに悪影響をもたらした要因と考えられる。
ヤマハの今後の展望は回復傾向
2020年度の業績は不振だったが、あくまでも一時的なものだと考えられる。
その理由としては、新興国におけるバイク販売状況が回復傾向に転じつつあるという点を挙げられる。
台湾では公的な補助金制度の導入によりニーズが高まっている。
さらに、インドではコロナ渦の影響が収まりつつあり、需要が回復に転じていることが明らかだ。
特に新しいモデルを投入したということもあり、これからの売上高にプラスに影響することは間違いない。