バイク選びをする際、デザインや足つき性と同じくらい気になるのが「燃費」という数字ではないでしょうか。ガソリン価格が高騰している昨今、愛車がリッターあたり何キロ走るのかは、日々の維持費に直結する切実な問題です。しかし、バイクの燃費と一口に言っても、エンジンの大きさやタイプによってその数字は天と地ほどの差があります。カタログに載っている難しい試験モードの数値だけでなく、実際に公道を走った時の肌感覚としての「平均値」を知っておくと、バイク選びの基準がより明確になります。今回は、排気量ごとの燃費の相場と、その数字が持つ意味について考えてみましょう。

最強のエコ乗り物! 原付・125ccクラスの驚異的な数字

燃費という土俵において、世界中のあらゆるエンジン付き乗り物の中でトップクラスの性能を誇るのが、50ccから125ccまでの小排気量バイクです。特にビジネスバイクとして有名なホンダのスーパーカブなどは、カタログ値でリッター100kmに迫る数字を叩き出すこともありますが、実燃費としてもリッター60km前後で走ることは珍しくありません。一般的なスクーターや125ccのスポーツタイプであっても、リッター40kmから50kmというのが一つの平均的な目安になります。

このクラスの凄さは、一度の給油で走れる距離ではなく、日々の財布への優しさにあります。例えばタンク容量が5リットルしかなくても、リッター50km走れば250kmも移動できます。通勤や通学で毎日使ったとしても、給油は月に一回か二回で済んでしまうこともザラです。「忘れた頃に給油ランプが点く」という感覚は、このクラスならではの特権と言えるでしょう。ハイブリッドカーですら実燃費でリッター20kmから30km程度であることを考えると、小排気量バイクの経済性は圧倒的です。数字で見ると、改めてその効率の良さに驚かされます。

バランスの良さが魅力の250cc・400ccクラス

高速道路に乗れるようになり、行動範囲がぐっと広がる中型クラス(250cc〜400cc)になると、パワーが出る分だけ燃費の数字は少し落ち着いてきます。エンジンの気筒数(シリンダーの数)によっても変わりますが、単気筒や2気筒のモデルであれば、リッター30km前後がこのクラスの平均的なラインと言えます。4気筒エンジンを搭載した高回転型のスポーツモデルになると、もう少し数字は下がり、リッター20kmから25km程度になることもあります。

この「リッター30km」という数字は、ツーリングライダーにとって一つの基準となる重要なラインです。多くの250ccバイクのタンク容量は12リットルから14リットル程度ですので、計算上は満タンで350kmから400km走れることになります。これは、朝出発して夕方まで走り、途中で一回給油するかしないか、という丁度いい航続距離です。パワー不足を感じることなく高速巡航ができ、かつお財布にもそこまで厳しくない。この燃費と性能の絶妙なバランスこそが、250ccクラスが現在最も売れている理由の一つかもしれません。

排気量と反比例する大型バイクの燃費事情

750cc(ナナハン)やリッターバイクと呼ばれる1000cc超の大型バイクになると、燃費の数字は車に近づいてきます。強大なパワーを生み出すためには、それだけの燃料を燃やす必要があるからです。大型クラスの平均的な実燃費は、リッター15kmから20km程度が一般的です。ハイパワーなスーパースポーツモデルや、重量のあるツアラーモデルで元気に走ると、リッター15kmを割ることも決して珍しくありません。小排気量バイクに乗っている人からすれば「燃費が悪い」と感じる数字かもしれませんが、0-100km/h加速でスーパーカー並みの性能を発揮する乗り物が、コンパクトカー並みの燃費で走ると考えれば、実はエネルギー効率はそれほど悪くないとも言えます。

大型バイクの場合、燃費の数字そのものよりも「航続距離」を確保するために、タンクを巨大化させる傾向があります。燃費がリッター15kmでも、20リットルの巨大なタンクを積んでいれば300kmは走れます。逆に、デザイン重視でタンクが小さい大型バイクだと、150km走るごとに給油が必要になり、ツーリング仲間を頻繁に待たせてしまうことにもなりかねません。大型バイクを選ぶ際は、単なる燃費の良し悪しだけでなく、「タンク容量×燃費」で算出される航続距離が、自分の走りたいスタイルに合っているかを確認することが大切です。

燃費の数字は、単なる経済性の指標であるだけでなく、そのバイクがどのようなキャラクターを持っているかを表すスペックの一部です。数字を正しく理解して、あなたのバイクライフに最適な一台を見つけてください。

参照元:国土交通省「自動車燃費一覧(二輪車)」および各メーカー主要諸元(WMTCモード値)