こちらでは、2019年度カワサキの二輪事業がどのように進んでいったのか数字を元に見てみようと思う。
前年と比べると売上が増加
全体で見るとカワサキの2019年8月期の業績は増収・減益となっている。二輪事業(カワサキでは四輪車・二輪車事業を含めてモーターサイクル&エンジンと表現する)では売上高が落ちているものの、四輪車事業や航空宇宙システムの分野で収益が増え、全体では売上高が上がっている。
売上高は上がっているものの、モーターサイクル&エンジンや精密機械・ロボット事業などで減益となり、全体で見ると減益という結果となっている。
2019年は為替の影響でスズキがダメージを受けていた。カワサキも例外ではなく、為替変動が大きくマイナスとなっている。
カワサキのモーターサイクル&エンジン事業について
新型コロナウィルス感染症拡大の影響で販売台数が伸び悩んだことも大きいが、前期に比べると為替が円高になってしまったことで売上高が落ちている。
それに加えて、製造工場を置くタイも為替の影響を受けた。タイバーツ高によって製造コストがかさんだのだ。また、2019年度は四輪車のリコールが相次いだこともあって営業利益を圧迫した。
二輪事業はヨーロッパ市場の拡大が続いているが、新興国の一部では成長が伸び悩んでいる。新興国では二輪事業に飽和の兆しもあることから、多くのバイクメーカーにこの特徴が見られる。
今後の展望
世界的に大流行した新型コロナウイルスによって経済活動が停滞している。特に感染症予防のために外出規制が取られ、個人の消費額が下がる可能性から、二輪事業が含まれるモーターサイクル&エンジンの影響が多大だと予想している。
2019年度は増収となった航空宇宙システムも、旅行の需要が著しく落ちる可能性が高いことから影響が大きい分野である。
上記の理由から、2020年度の見通しとして、カワサキ全体で見た場合に赤字となる可能性を示唆している。
また、カワサキは新型コロナウイルスの影響を鑑みて、今後の見通しを立てることが難しいという判断を下し、合理的に予測可能となるまで連結業績予想を取り下げる旨を発表した。
「今後の業績予想が立てられない」という結論はカワサキだけではなくスズキも同様だ。今後の状況に不確定要素が少なくなっており、見通しが立つまでは業績予想を取りやめる措置を取っている。
2019年から2021年にかけては、メーカーを問わず今後の見通しが難しい状況が続きそうだ。