スズキの売上報告は減少が目立つ
スズキの2020年度の実績報告を見ると、2年連続での減少となっているのが特徴的だ。
特に世界販売台数の減少は大きく、9.8パーセントものマイナスを付けている。
国内における販売台数を見ると、64万7,222万台と3.7パーセントの減少に留まっている。
このことから、日本国内での減少幅は抑制傾向にあるものの、海外における生産と販売、そして日本からの輸出が不振の大きな原因となっていると言えるだろう。
もっともこの世界販売台数のマイナスは、どのバイク、自動車メーカーにも言えることで、コロナウイルス感染拡大による影響が業界全体として強いことが伺える。
海外販売の中でも国別に見てみると、スズキは特にインドにおける減少が目立っている。
海外全体では11.7パーセントの減少となる192万3,985台となっているが、特にインドにおける減少幅が大きくなっている。
インドはバイクメーカーにとって一台営業エリアであり、アジアの中でも主軸となる市場であるが、減少傾向がひときわ目立っているのはスズキにとっては痛いところだろう。
生産台数の減少も見られている。
世界生産台数では10パーセント程度のマイナスとなっていて、サプライチェーン網の問題やコロナウイルス感染拡大による工場稼働の制限などもあって、なかなか厳しい状況となった。
スズキのバイク事業について
モーターサイクル事業全体で見ても、世界全体における売上や営業利益の減少が強み見られるが、バイク事業についても同じである。
国内販売も海外総計としての販売台数も共に落ち込んでいて、同時に利益の減少も強く見られる。
一方で、世界の地域別に見ると、多少の差を感じることもできる。
例えば、ヨーロッパ向けの輸出では他地域や国内と比べると増加傾向にあって、希望の道筋を示していると言えよう。
スズキは国内ではバイク部門で4位のシェアを持つが、他社と同様に国内売上高の減少が続いている。
シェア率については大きな変化が見られないので、業界全体の傾向と見て良いだろう。
スズキの今後の展望
売上高の減少は単に購買が減ったということだけでなく、世界における生産状況が厳しくなったということも関係している。
特に深刻なコロナウイルス感染拡大が見られたインドや東南アジアにおける生産と販売は、いくつもの拠点を同地域に持つスズキにとっては痛いポイントだ。
しかし、これからこうした地域でも感染が収まっていくことや、ヨーロッパにおける販売がこの状況でも引き続き好調であることを考えると、希望が見えてくる。
また、国内販売においてもそれほど大きな減少傾向が見られていないため、早い段階でプラスに転じることが期待されている。