こちらでは、2019年度スズキの二輪事業がどのように進んでいったのか数字を元に見てみようと思う。
2019年(2020年3月期)は減収・減益
スズキの決算月は3月となっているので、ここでは2020年3月期(2019年4月~2020年3月)の情報を見てみようと思う。なお、スズキは2020年3月期を持って100周年を迎えた。
おめでたい節目の年ではあるものの、2020年3月時点で、売上高と利益ともにマイナスとなる結果となっている。
売上高の減少理由としては、新型コロナウイルスの影響に加えて、為替の影響も大きいとのことだった。また、インドの四輪市場の回復が予想以上に遅かったことも、全体の売上高低下につながっている。
スズキ全体の数字を見てみると、売上高が最も高いのは四輪事業であり、差を離してはいるがその後を二輪事業が追う形となっている。売上高は大きいが売上原価も高いのが四輪・二輪という市場である。売上は伸び悩んで前年割れしている。その一方で、売上高・営業利益ともにマリン事業などが前年と比べてわずかにプラスとなっており、利益を牽引する存在となっている。
スズキの業績を5年のスパンで追ってみると、営業利益は大きく減少しているものの、売上高は大きな落差はなく、横ばいの傾向が見られる。また、二輪販売は2020年3月期には前年より落ちたものの、5年前から着実に数字を伸ばしていることが伺える。
スズキの二輪事業について
二輪事業については生産・販売ともに減少している。生産は前年比マイナス1.0%、販売は前年比マイナス2.1%だ。
2020年3月期において、二輪車の販売台数はインドで増加した一方で、ヨーロッパやアメリカ、インドネシアでは伸び悩む結果となった。
インドで販売増加の追い風も、新型コロナウイルスのあおりを受けて前年比マイナス2.3%となっている。ただ、二輪市場が次第に小さくなっている中でも、ACCESS(スクーター)が販売台数を伸ばして692,000台を叩き出した。前年比+8.9%、ACCESSを販売してから過去最高の販売台数となる。
今後の展望
スズキは製造拠点を日本、インド、フィリピン、ハンガリー、パキスタンなどに置いているが、新型コロナウイルス感染症の対策のために工場稼働に影響が出ている旨を発表した。本来であれば2020年3月期の決算発表の際に来期の数字を予想して経営計画を開示していたが、今回は不確定要素が多いことを理由に経営計画の発表を延期するという異例の措置が取られた。