こちらでは、2019年度ヤマハの二輪事業がどのように進んでいったのか数字を元に見てみようと思う。
二輪車不振のあおりを受けて18.1%マイナスに
ヤマハが発表した2019年の連結決算によると、2019年12月期の営業利益は前年と比べると18.1%も減少している。これは全体の数字であり、二輪車事業(ヤマハではランドモビリティと表現する)だけにとどまらないという点に注意は必要だ。
ただ、ランドモビリティでは前年比マイナス1.3%と減少しており、主力となっている台湾やインド・ベトナムで二輪車が成熟期を迎えており、需要が落ちている点が理由の一つに挙げられている。
ヤマハのランドモビリティ事業について
2019年12月期、ヤマハのランドモビリティ事業が出した売上高は全体の6割を占めており、二輪車を主力としている。ただ販管費も含めた「営業利益」の観点で見るとマリン事業が牽引している状態となっている。なお、ヤマハが手掛けるマリン事業とは、マリンエンジンや船艇の開発が主である。
2019年は、ヨーロッパでの販売増加によって収益改善を図ったものの、ベトナム・台湾・インドでの販売数は前年と比べて落ちている。
世界で初めて電動アシストユニットの展開を進めたヤマハは、2019年現在も出荷台数を伸ばしている。今後も主要製品として推し進める方針であり、近い将来にヨーロッパへ市場を拡大することを検討している。
今後の展望
ヤマハは今後の二輪車の価値観が大きく変わると見ている。自動運転技術が発達して移動の手段としての便利さが追求される一方で、「自分で運転をする楽しさ」という自己実現の手段としてモビリティというニーズがあるという考え方だ。
ヤマハは「めざせ、ころばないバイク」をモットーに掲げるように便利さを大事にしている。だが、趣味や楽しみとしてのバイクづくりを得意としてきたブランドであるという自負もあるメーカーだ。今後もそんなヤマハらしく、自己実現のためのマシン開発に注力するとのことだ。
また、ヤマハは二輪を世に送り出す企業の責任として、モビリティの安全普及にも力を注ぐ方針だ。運用している「ヤマハライディングアカデミー」の活動も今後はより活性化させ、交通事故の低減のために尽力する方針を発表している。
2019年時点では15の国にライディングトレーナーを配置しており、年間1300回開催し、参加者はおよそ12万人にのぼる。2021年までにライディングトレーナーを20カ国に配置し、年間2000回、18万人の参加を目指している。