愛車を大切に長く乗り続けることは素晴らしいことですが、ライフスタイルの変化や新しいモデルの登場によって、いつかは手放したり買い替えたりする時がやってきます。他のライダーたちが一体どれくらいの期間でバイクを乗り換えているのか、気になったことはないでしょうか。市場の動向やアンケート調査の結果を見てみると、新車で購入した場合、およそ5年から6年程度で次のバイクへ乗り換える、あるいは手放すというサイクルが平均的な数値として浮かび上がってきます。これは決して短い期間ではなく、バイクという乗り物が趣味性の高いものであることや、維持費の掛かり方と深く関係しています。

ローンの完済と消耗品の寿命が重なる時期です

なぜ5年から6年という数字が多いのかを紐解くと、経済的な理由が大きく関わっていることが分かります。新車でバイクを購入する際、ローンを組むライダーは少なくありませんが、その返済期間として選ばれることが多いのが3年から5年です。毎月の支払いが終わり、経済的に身軽になったタイミングで「次はどのバイクに乗ろうか」と次の愛車探しを始めるのは、消費者心理として非常に自然な流れと言えます。また、所有しているバイクの下取り価格が極端に下がる前に売りたいと考えるのも、この時期に手放す人が多い理由の一つです。

さらに、物理的な消耗品の寿命もこのサイクルに影響を与えています。走行距離にもよりますが、新車から5年も経過すると、タイヤ、チェーン、スプロケット、バッテリー、ブレーキパッドといった主要な消耗品が相次いで交換時期を迎えます。これらを一度に全て新品に交換しようとすると、数万円から車種によっては十万円近い出費となることも珍しくありません。「修理やメンテナンスに高いお金をかけるくらいなら、その分を頭金にして新しいバイクに乗り換えよう」という判断が働きやすいのが、ちょうど5年目あたりなのです。

車検のタイミングが乗り換えの引き金になります

排気量251cc以上のバイクに乗っている場合、切っても切り離せないのが車検の存在です。新車で購入した場合は3年後、それ以降は2年ごとに車検がやってきます。この車検のタイミングは、乗り換えを検討する最大のきっかけとなります。特に新車から3年目の初回車検、そして5年目の2回目車検の直前は、中古車市場に多くの車両が流入する時期でもあります。

車検を通すためには、重量税や自賠責保険料といった法定費用のほかに、整備費用がかかります。特に5年目の車検となると、先ほど触れたような消耗品の交換推奨時期と重なるため、見積もり額が高額になりがちです。車検費用としてまとまった現金が出ていくのを避けるために、検切れの数ヶ月前に査定に出し、新しいバイクへと乗り換えるサイクルが生まれます。逆に言えば、250cc以下の車検がないバイクの場合は、この強制的な締め切りがないため、ズルズルと長く乗り続けたり、逆に乗らないまま放置してしまったりと、保有期間が長期化、あるいは極端に短期化するなどバラつきが出やすい傾向にあります。

ライフスタイルの変化が数字に表れています

バイクは車と違って、実用性以上に趣味の道具としての側面が強い乗り物です。そのため、ライダー自身の環境の変化が、保有期間にダイレクトに影響します。例えば、結婚、出産、転勤、引っ越しといった人生の大きなイベントが発生した際、真っ先に手放す対象になりやすいのがバイクです。独身時代に購入し、結婚を機に数年で手放すというパターンや、子供が生まれて乗る時間がなくなり売却するといったケースは後を絶ちません。

また、体力的な問題や「飽き」も数字に関係してきます。大型バイクに憧れて購入したものの、実際に所有してみると取り回しが重くて億劫になり、車検を一度通したものの結局あまり乗らずに手放してしまうという「3年から5年」の壁が存在します。一方で、本当に気に入った一台に出会えたライダーは10年以上乗り続けることも珍しくないため、平均値を出すと5、6年に落ち着きますが、実際には「すぐに乗り換える層」と「長く乗り続ける層」の二極化が進んでいるとも言えるでしょう。数字はあくまで平均ですが、そこにはライダーそれぞれの人生の物語が隠されているのです。

参照元:一般社団法人 日本自動車工業会(JAMA)「2023年度 二輪車市場動向調査」
(https://www.jama.or.jp/library/invest_analysis/two-wheeled.html)